最近、私たちRE/MAX HUB(沖縄)に寄せられる相談で、特に切実なものがあります。
「施設に入った母のために、沖縄の実家(あるいは軍用地)を売却して費用に充てたいのですが……」
実は、このご相談をいただいた時点で、すでに「手遅れ」に近いケースが少なくありません。
ご家族が「売りたい」と思っても、親御さんに認知症の症状が出ていると、不動産売買の時計は止まってしまうからです。
今日は、沖縄特有の事情も踏まえながら、後見制度の現実についてお話しします。

沖縄で増えている「実家売却」の落とし穴
最近、沖縄にある私たちRE/MAX HUBに寄せられる相談で、共通して増えているケースがあります。
「施設に入居した母のために、那覇の実家を売却して介護費用に充てたい」
「軍用地の分配金を、父の入院費に使いたいけれど、手続きが止まってしまった」
実は、こうしたご相談をいただいた時点で、すでに「手遅れ」に近いケースが少なくありません。
ご家族がいくら「売りたい」と願っても、親御さんに認知症の症状(判断能力の低下)が出ていると、不動産売買の時計はピタリと止まってしまうからです。
今日は、沖縄特有の事情も踏まえながら、成年後見制度の現実と、私たちが直面する「売却の壁」について詳しく解説します。
なぜ「家族」でも親の家を勝手に売れないのか?
沖縄では古くから「長男が仕切る」「家族で話し合えばなんとかなる」という文化が根強いですが、法律の世界は別物です。
不動産売却は、本人の「意思能力」がすべてだからです。
「サイン」だけでは通らない
司法書士は売却の面談時に「売る意味を理解しているか」を厳格に確認します。
名前が書けても、内容が理解できていなければ契約は無効です。
軍用地の特殊なリスク
毎年安定した分配金が入る軍用地。しかし、分筆や売却、あるいは管理の変更を行う際も本人の意思が必要です。
認知症になると、これら貴重な資産が「塩漬け」になり、次世代への継承が困難になります。

成年後見制度という「最後の手段」の重み
親の判断能力が不十分になった場合、家庭裁判所に申し立てて「成年後見人」を選んでもらうことになります。
しかし、この制度は「実家を売るための便利なツール」ではありません。
居住用不動産の売却許可
後見人が決まっても、住んでいた実家を売るには別途、家庭裁判所の「売却許可」が必要です。
つまり実際の流れは
後見人の選任
↓
家庭裁判所に売却許可の申立
↓
売却の必要性を審査
↓
許可が出る
↓
売買契約
という手順になります。
「施設費用が本当に不足しているか?」など厳格に審査され、許可が出るまで数ヶ月かかることもあります。
このタイムラグで、せっかくの買主さんを逃してしまうケースは非常に多いのです。

一度始めたら「一生」の付き合い
成年後見制度は、本人が亡くなるまで続きます。
「家が売れたから終わり」というわけにはいきません。
途中で
「もう必要ないからやめたい」
と思っても、原則として終了することはできません。
これは意外と知られていないポイントです。

ランニングコストの発生
後見人に弁護士や司法書士、社会福祉士などの専門職が選ばれた場合、月額2万円〜6万円程度の報酬が発生します。
これが10年続けば、数百万円の出費が本人の財産から削られることになります。
つまり、
亡くなるまで続く可能性のある費用ということになります。

急増する「社会福祉士」の後見人選任
以前は「後見人=法律家」のイメージでしたが、最近は沖縄でも社会福祉士が選ばれるケースが急増しています。
「お金を守る」から「暮らしを守る」へ
後見人制度、かつては財産管理が主眼でしたが、今は「どんな施設に入り、どんなケアを受けるか(身上保護)」が重視されます。
社会福祉士は
- 施設入所
- 医療判断
- 生活支援
などを含めた身上監護を担当することが多いのです。

福祉現場のスペシャリスト
ケアプランの確認や行政サービスとの調整は、社会福祉士の得意分野です。
沖縄でも独居高齢者や老老介護が増える中、自治体や包括支援センターと連携しやすい社会福祉士は、ご家族にとっても心強いパートナーとなっているそうです。
沖縄特有の「家族会議」の難しさ
沖縄では「トートーメー(仏壇)」を誰が守るか、という問題が不動産売却に影を落とします。
「仏壇があるから家を壊せない」「親戚の反対が怖い」と躊躇している間に、親の認知症が進行し、法的に身動きが取れなくなる……これが最悪のシナリオです。
成年後見制度を利用すると、親族であっても財産管理に口出しできなくなります。「あの時、元気なうちに話し合っておけば」という後悔を、私たちは何度も見てきました。
【よくあるご質問:認知症と不動産売却Q&A】
Q1:親が「要介護認定」を受けていても、実家の売却は可能ですか?
A:はい、可能です。
「要介護=意思能力がない」というわけではありません。
足腰が弱って介護が必要でも、頭がはっきりしていて「家を売る」という契約の内容をしっかり理解できていれば、通常通り売却手続きは進められます。
ただし、司法書士による面談で「本人の意思」が確認できることが条件となります。
Q2:親が施設に入って、すでに実家が「空き家」になっています。後見人を立てずに売る方法はありますか?
A:親御さんに十分な判断能力があるなら、後見人は不要です。
ただし、認知症が進行している場合は、成年後見制度を利用するか、あるいは症状が軽いうちであれば「家族信託」という選択肢もあります。
すでに判断能力を失っている場合は、残念ながら後見人を立て、裁判所の許可を得るのが唯一の法的手段となります。
Q3:沖縄県外に住んでいる子供が、親に代わって「代理人」として契約できますか?
A:親御さんに判断能力がある場合に限り、委任状による代理契約が可能です。
しかし、この場合でも司法書士が親御さん本人(所有者)に電話や面談で「本当に売却を任せていますか?」と確認をします。
親御さんが「誰に何を頼んだか」を説明できない状態だと、お子さんであっても代理人になることはできません。
資産を「家族の笑顔」に変えるために
不動産を、本人の意思で自由に動かせるのは「元気なうち」だけです。
「まだ早いかな?」と思う今こそが、家族信託や生前売却など、後見制度以外の選択肢を検討できる貴重なタイミングです。
RE/MAX HUBでは、単なる物件の売買だけでなく、沖縄の家族の形に寄り添った資産管理のアドバイスを行っています。
空き家になってしまう前に、そして「売れない資産」になってしまう前に。まずは気軽にご相談ください。




